H-2Dプロジェクト2013 活動報告

H-2Dプロジェクトとは:
社会人ロケット開発チーム「TOKAI ROCKETEERS」の高校生チャレンジ支援企画により、ハイブリッドロケットXA150L-4Aのペイロードとして搭載機会をいただきました。
東工大附属高校科学部と成蹊高校天文気象部で高校生チーム「さくさくしーど」を結成し、OB大学生チーム「503」と連携ミッションを行いました。

 ◆プロジェクト・ロゴ(近藤那央さんデザイン)

 中央に伊豆大島の三原山ときれいな海を配置し、
 上空に、プロジェクトに集った Hope(高校生)とDream(大学生)の缶サット、
 そしてDiamondの凄腕社会人のロケットを舞わせました。


日時:
製作期間:2013年10月 - 2014年3月
打ち上げ:2014年3月21日 - 3月23日

場所:
定期ミーティング・製作:東京工業大学附属科学技術高等学校3号館207
打ち上げ場所:伊豆大島裏砂漠(東京都大島町)

参加者:
*高校生チーム「さくさくしーど」
 成蹊高等学校 天文気象部 細谷瑛子
 東京工業大学附属科学技術高等学校 科学部 山地琢
*大学生チーム「503(ごーまるさん)」
*打ち上げチーム「TOKAI ROCKETEERS」


高校生の缶サット「Carry Can Can」

高校生缶サットは構造体とそれを包む外装、パラシュートで構成されています。
パラシュートを成蹊高校が、構造体を東工大附属高校が担当しました。

 ◆「Carry Can Can」機体

 ◆「Carry Can Can」の仕様


実施するミッションは「放出点の真下に着地させる」ことで、缶サット甲子園2013で東工大附属高校が実施したものと同じテーマを引き継ぎました。

 ◆H-2Dプロジェクト・フライトシーケンス


  ◆「Carry Can Can」のミッション/機能一覧


今回は、スマイルツリーに加え、新しい機能を缶サットに搭載しました。

ターゲットマーカ(TM)
全長20mmほど(ストリーマー開放時約270mm)の円筒にブザーと電池を搭載したものです。
スマイルツリーの反転が行われると同時に放出します。
TMを機体に2つ搭載し、一度の反転につき1つ放出します。
それぞれのTMが着地したところの距離を調べることで、スマイルツリーの区間距離を調べます。

 ◆ターゲットマーカ放出の仕組み


 ◆重心移動による直進飛行


ひとりごと
缶サットが空高くまで飛ぶと、目視が難しくなります。
そこで缶サットの通過高度や反転のタイミングを音声で読み上げ、FM送信し、地上のFMラジオで受信することで、見えなくても缶サットの状況を掴めるようにしました。

 ◆ひとりごと(機体状況のFM放送)


連携ミッション-バックアップデータ通信-
高校生機体が取得したデータを無線通信(TOCOS / TWE-001 strongを使用)で大学生機体に送信し、大学生機体から地上局(CURUIT DESIGN / MU-2-425を使用)へデータを送信し、バックアップデータを取得します。



打ち上げ遠征概要:
1日目 3月21日
・大島に向けて竹芝桟橋から東海汽船の高速ジェット船「セブンアイランド友」で大島入り
・裏砂漠下見
・温泉民宿「大陣」着
・機体の最終チェック

2日目 3月22日
・4時半起床、裏砂漠に向けて出発
・10時03分38秒高校生・大学生缶サット打ち上げ
・機体捜索
・温泉民宿「大陣」着
・技術交流会
・取得データ、動画解析、捜索範囲決定

3日目 3月23日
・高校生機体捜索
・温泉宿「大陣」発
・東海汽船「かめりあ丸」にて帰還

打ち上げ状況:
前日準備の時点で構造体や電装の確認は完了していました。
打ち上げ直前に構造体・外装・パラシュートの組立が完了し、ロケット搭載まで待機していました。
しかしフライトピンの接続、ロケットへの収納に手惑い、打ち上げ時間のギリギリまで作業を行いました。

 ◆打ち上げデータ


ロケットは無事打ち上がり雲の上まで上昇し、この時点で全機体を完全に見失いました。
その後、機体が着地した大まかな方向に向けて捜索隊を組んで探した結果、打ち上げたロケットと大学生の機体の回収に成功しました。
高校生機体は送信されてくるGPSをもとに探す予定でしたが、送信されたもののデータが初期値から更新されておらず、人海戦術での捜索になりました。
しかし、ターゲットマーカも缶サット本体も見つけることができず、22日は引き上げました。
宿に戻ったあと、大学生機体で受信していた高校生機体の取得した気圧や加速度データ、大学生機体に搭載されていた動画をもとに高校生機体が着地したであろう場所を探し、捜索範囲を決めました。
翌日、決めた範囲を捜索しましたが、見つけることはできませんでした。
その後、地元の方の応援を得て捜索しましたが、まだ見つかっていません(2014.6.25現在)

ミッション達成状況:
今回の打ち上げでは、機体回収を行うことができませんでした。
しかし、大学生機体との連携ミッションの伝送データによりセンサデータの一部取得に成功しました。
これを用いて、缶サットのある程度の動きを推測できると考え、解析作業を行っています(2014.6.25現在)

 ◆結果一覧




感想
今回半年をかけてミッションの構成をしたり、缶サット製作などを行ってきたりしました。
科学部2年間の活動の中で最も内容が濃く、多くの作業を行いました。
社会人や大学生と共同してひとつのものを作り上げるという経験は、社会のルールで動くということであり、とても貴重なものでした。
将来はもの作り関係に進もうと思うようになったきっかけをくれたプロジェクトでした。
この半年間を振り返ると、長く大変な作業で「あそこでこうしていれば」と悔やむ点もいくつかあります。
しかし学生生活だけでは学ぶことのできないことも学ぶことができ、私にとってはとても貴重で充実したものでした。

謝辞:
今回のプロジェクトにご協力してくださった皆様に感謝申し上げます。
伊豆大島ロケット打ち上げ実験にいつも力を貸して下さる
・大島町の皆様
・東海汽船
・温泉民宿「大陣」の皆様
高校生機体捜索に力を貸して下さいました
・地元大島町の伊藤様、嶋田様
そして、この機会を下さった
・TOKAI ROCKETEERSの皆様
本当にありがとうございました。

(報告執筆担当・山地 琢)

東京工業大学附属科学技術高等学校 科学部
更新:2014年6月30日